神奈川県 安藤恵一
日本ベアタ・ツィーグラー協会 殿
拝啓
はじめまして、安藤恵一と申します。昨7月7日は文化会館で、藤原由紀乃さんの<シューベルトの夕べ>を聴かせていただきました。とても感動しましたので、拙い感想文ですがお送り致します。個人的なメモですので、文中のぶしつけな表現はお許し下さい。次回から、藤原由紀乃さんの音楽会案内をお送り下されば幸いです。初めて訪れる藤原由紀乃のコンサート、それも大好きなシューベルトの変ロ長調ソナタを弾くとあって胸躍る。仕事を定時で切り上げて八王子から駆けつける。ボクの席は右寄りK列31番。 プログラムは、「楽興の時」と「遺作ソナタ」変ロ長調D.960の2曲。楽器はベーゼンドルファーを使うようだ。袖から現われた彼女、丁寧に深々とお辞儀を繰り返してからゆっくりゆっくり呼吸を整える。静かに、語りかけるように音楽が始まる。深々とした重い響き。輝かしいというよりは、慈しむような包容力のある音のつながり。テンポは遅めで一音一音噛んで含めるように歩んでいく。優しく暖かい音楽だ。「楽興」の音楽なのだが、軽やかな可愛らしさは希薄でときに“冗長”にも聞こえる。癒しか慰めか、6曲長めの約25分。休憩が入る・・・席を立たずに感想をメモにとる。複雑な印象だ、この後の変ロ長調をどのように聴かせてくれるのか?期待より懸念がふくらむ。まもなく起きる“事件”など予期できるはずもない。「変ロ長調」が始まった。やはりゆったりと深くて濃い響きだ。ふしぎと重苦しくない、次第にその語り口に引き込まれる。fでも決して声高にならず、一つひとつの音たちが深い意味を語りかけてくるようだ。長大な第1楽章から第2楽章が、なんと印象強く慈愛に満ちて響くことだろう。大好きなスケルツォとフィナーレでも、ついに陽気に振舞うことはなく、心のこもった優しさと暖かさが全篇を覆いつくす。そして思いのたけを込めた最後の一音・・・。音楽を聴いて、音の余韻、音空間の息吹きにこれほどまで心打たれたことはなかった。いい、すごくいい音楽にめぐり合えた。深く心に沁みた45分。 「新たな変ロ長調」がボクの胸にしっかりと、確かに刻みこまれた。何度も拍手に呼び戻されて、アンコール ?まさかここで“事件”が起きようとは!「アンコールに、今のソナタのゆっくりとした第2楽章をもう一度弾かせて下さいませ。」この言葉に、ピアニスト藤原由紀乃のすべてが込められており、彼女の音楽への奉仕の様が理解できたように思った。 “一瞬にしてすべてを悟った大事件”アンコールとくれば、ポピュラーなピースや聞き映えのする小曲をサービスするのがふつうだろうが、そのことば遣いといい、彼女はメイン・プロの緩徐楽章をアンコールに再度選んだのだ。選び取り組んだ音楽を、すべての音に意味を込め、じっくりと心ゆくまで熟成してゆく??そういえば、20年になるキャリアで彼女の出したCDが5枚程度、うなづけることではある。そんな、ひたむきで献身的な音楽家の存在に、今夜は感動した。
東京都 折原 直
私は、シューベルトの数あるピアノ・ソナタの中でも、変ロ長調の遺作が最も気に入っており、藤原様の演奏を楽しみにしていましたが、今日の演奏には心から感銘を受けました。正に心が浄化されたというのが実感です。このソナタに関しては、リヒテルやブレンデル等による名演がありますが、それらを凌駕する演奏でした。私は、普段からこの曲について、1、2楽章と3、4楽章との間を断絶させる何かの存在を感じていましたが、藤原様の演奏には全くありませんでした。藤原様の曲全体を通じての深い解釈とそれに基づく構成力には、全くもって感服いたしました。また、アンコールでは、同ソナタの第2楽章をあらためて演奏していただき、更なる感動を長大したことに心から感謝申し上げます。今後の益々のご活躍を心から祈念申し上げます。
(追伸) 是非、シューベルトのピアノ・ソナタのCD化をお願いしたいとおもいます。
栃木県 市橋 明美
本日は誠におめでとうございました。演奏会の冒頭第一音から、“ピアノを弾く”ということを超越されて、魂の祈りを捧げていらっしゃるような演奏に深い感銘を受けました。シューベルトの音楽の世界の底知れぬ不可さにもあらためて出会わせていただくことができました。どうもありがとうございました。
埼玉県 赫 宏子、典子、杏子
初めてのコンサートでした。親子三人、娘(二人)で来ました。美しい音の響きをありがとうございました。
東京都 深田 輝美
今日は、すばらしい演奏をありがとうございました。アンコールの時には、自然に涙が出てきてしまい、本当に心にしみる音で・・・、何といえばいいのでしょうか。言葉がみつかりません。七夕のとてもとても嬉しいプレゼントでした。本当にありがとうございました。
東京都 奥田 慶子
素敵な演奏を有難うございました。深い海のようで、ピアノの世界の中に託さんのハーモニーとおしゃべりが聞こえてくるようでした。藤原さんの世界を感じ、感動しました。これからも頑張って下さい。
神奈川県 露木 友彦
ショパンの2枚のCDの演奏が大変素晴らしかったので本日初めて、演奏会を聴きに来ました。シューベルト2曲による大変“渋い”プログラムですが、最初の楽興の時からシューベルトの“歌”と寂寒感に満ちた想いが伝わる演奏で、ソナタD960はより深い精神性が感じられました。日本にシューベルトのみでこれ程“歌え”て、ベーゼンドルファーから、重厚な音が出せるピアニストが存在していたとは、驚きです。往年のクラウディオ・アラウを思い出させる名演奏でした。乱筆乱文おゆるし下さい。
東京都 久保田 博子
音楽会はいつも素晴らしく、心があらわれるようで感謝しております。先日(6/2)の音楽会がテレビ放送されるのはとても嬉しく思いますが、地上波で放送してくださったらもっとよかったのにと思います。これからもどんどんTV、ラジオに出演して頂きたいです。また、上手なオーケストラとコンチェルトを是非やって頂きたいです。
埼玉県 吉住 久
大好きなシューベルトのピアノソナタを聴かせていただき、感謝しています。大変熱演と存じます。今後の活躍を祈ります。
埼玉県 吉住 嘉津子
今年はモーツァルトのコンサートの多い年にあえて、オールシューベルトを演奏なさって、私共シューベルトを愛好している者にとって、とても嬉しい事です。初めてのコンサート、“遺作”は藤原さんの世界を演奏していらしたと存じます。又、案コーツに第ニ楽章を弾かれ、シューベルトの死を前にしての心のとぎすましてものが表われていました。ベーゼンドルファーの演奏から久しぶりに感動しました。御活躍を!!
東京都 浅賀 美代子
Brava
夏の夕べをピアノの音で楽しく過ごしました。ご衣装もエレガントですてきでした。
東京都 樋浦 秀子
藤原先生のピアノには色彩があり、柔らかで美しい音色のハーモニーは、美しい絵を見ているようでした。素晴らしい演奏を有難うございました。
埼玉県 岡 美知子
大好きな遺作のBーDurソナタが由紀乃さんの演奏で聴けると、今宵わくわくして参りましたが、まず前半の「楽興の時」にどんどんひきこまれ、「前進が耳」の心地良さに酔いました。地味な作品ながら、これほど、演奏家の力量が聴き手を圧倒したり、感心させたりするテクニックを露とも感じさせず、聴き手に音楽そのものの暖かさ、豊かさを自然に届ける演奏はない、と自称百戦錬磨の聴衆であると思い、心を動かされる演奏、演奏者のこれ見よがしの個性ではなく、伝導者として作品の真髄を伝えてくれる演奏の少なさに最近増々閉口している私は、本当に今、幸せな想い、余韻にひたっています。BーDurソナタについては、又の折に書くことに致します。先日のBrahms Quintett(6/27)もすばらしかったです!
東京都 佐々田 昭子
とってもようございました。又、シューベルト、その他、お聴かせ下さい。
東京都 増田 義重
とても落ち着いたあたたかいSchubertだった様に思います。アンコールは即興曲が聴きたかったのですが・・・。別の機会に
東京都 廣田 尚久(後援会会員)
今日はたっぷりとシューベルトの世界を満喫させていただきました。とくにアンコールでソナタ第21番の第2楽章をもう一度演奏して下さったおかげで、最初のときには気づかなったのですが、由紀乃さんが高い音からゆっくりゆっくり低い音に導いてくれて、その深奥のところで、えも言えぬ安らぎの調べを存分に奏でてくれました。大満足です。
調布市 小林望
藤原さんのリサイタルに初めて伺わせていただき、パーティにも参加させていただいて(そして握手までしていただき)、とても感激しました。あのとき諸先輩方を差し置いてスピーチをさせていただきましたが、「アンコールが1曲でがっかりしました」などとウケ狙いで言わずもがなことを言ってしまい、あとで気になりました。お詫びかたがたメールを差し上げます。本心としては、あの絶品の(ほんとうに!)2楽章を一晩に2度も聴けたのは実に幸福なことだったと思っています。そして、あの晩のプログラムと演奏を思い出しますと、やはりあれで良かったのだと思います。あれ以外のものによって更に彩りを添えられたりする必要はありませんでした。あの凝縮された時間に込められた藤原さんの思いの深さは私のような生半可な素人には及びもつかないものでしょうけれども、その「覚悟」のようなものは確かに伝わって参りました。改めて、素晴らしい演奏に感謝申し上げます。